想いを伝える言葉

 マサシです。今回はちょっと小説を離れて絵本の話です。普段本を読まないという人でも、子どもの頃には何かしらの絵本を見たり、読んでもらったりしたことがあると思います。私は『ぐりとぐら』が好きでした、懐かしい。『はらぺこあおむし』とか、『100万回生きたねこ』とか、他にもいろいろありますよね。

 

 現在『桃太郎』や『かぐや姫』といった昔話は、多くの日本人が共有する物語になっています。同じく、世界に目を向けてもたくさんの童話が語られています。有名な物だと、アンデルセンの『人魚姫』やイソップ物語の『アリとキリギリス』、グリム童話の『シンデレラ』などがあります。海外のお話であっても、日本人の我々にも馴染みのある童話はたくさんありますよね。では、日本の昔話は、海外で読まれているのでしょうか?。

 今回紹介する絵本の作者は、ハンス・ウィルヘルムです。彼は、かの有名なグリム兄弟と同じドイツ生まれの作家です。良い名前ですよね。ちなみに、グリム童話の編纂者として有名なグリム兄弟ですが、言語学者としての顔も持ち、120年以上かけて『グリムのドイツ語辞典』という辞典も出されています。

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画像出典:https://xn--t8j4aa4n940y861a.com/1-13-166

 では、絵本の内容の紹介に入りましょう。この物語は「ぼく」を視点とし、飼い犬の「エルフィー」について語っていくことで進行します。

 「ずーっと、ずっと、だいすきだよ」

 この物語のほとんどが過去の出来事として語られていく中で、この「すき」という言葉だけは、現在から未来へと進んでいく言葉として使われています。「ぼく」とエルフィーは共に成長していき、家族みんなエルフィーが大好きでした。ただ、「すき」を声にすることはありませんでした。エルフィーがいたずらをしても、本気で怒る人はいませんでした。やがて、どうしようもない別れの予感は大きくなっていきました。ある朝、死んでいるエルフィーを見て、家族全員が悲しみに暮れます。でも「ぼく」は、エルフィーに「すき」を伝えていたから少しだけ気持ちが楽でした。

 

 

 「絵本なんて子どもが読むものだ」と思わないでください。これだけ短いストーリーだからこそ、確固として伝わってくるものがあります。大切な存在が消えるとき、身近な存在が失われるとき、その喪失感は時として重すぎるでしょう。しかし、「ぼく」は好きだと伝えていたから少し救われました。「ぼく」はまた新しく生き物を飼っても、きっと同じように「すき」を言葉にするんだと最後に言っています。それは、「どれだけ悲しくても愛することができて良かった」そう考えたからなのでしょう。生きていれば失い、死ぬときには失わせる。面と向かって愛情や感謝を伝えるなんて照れくさいかもしれません。それでも、「好き」を伝えてから別れられるなんて、とても素敵なことではないでしょうか。

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