ドイツ教育制度

皆さんこんにちは、ライターのりょうです。私が連載している記事は、欧米諸国の教育についてです。第4回目はドイツの教育制度についてです。それでは見ていきましょう。

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ドイツの義務教育は、6歳から15歳までの9年間と定められています。6歳になった子供は基礎学校(grundschule)に入学します。入学の日には、シューテューテ(schultute)と呼ばれる細長い筒を持って学校に向かいます。筒の中には飴などのお菓子やおもちゃなどが入っていて、子供たちはそれを心待ちにして入学式の日を待っています。

ドイツの基礎学校の特徴は、学校の授業時間に宗教の時間が設けられているところです。現代国家の原則では、政教分離を行い、宗教的中立を保つというのが定められています。日本や、ほかの欧米諸国の学校において、公立の学校で宗教を教えることはありません。しかし、ドイツでは積極的に宗教を授業に取り入れることで、宗教的中立を図っています。宗教の時間になると、自分の宗教によってクラスが分かれていて、カトリック、プロテスタント、イスラムなど多岐にわたる宗教のクラスに分かれます。無宗教の場合は、倫理の授業を受けることになります。

ドイツの学校では挙手するときに人差し指を立てて先生に示すのが普通になっています。さらに、どうしても指名してほしい場合には指を鳴らしてアピールします。日本では叱られるような行動ですが、ドイツでは肯定的に捉えられ、評価の対象になります。

ドイツの教育制度に特徴的なのが、基礎学校卒業後の進路が3つに分岐していることです。5年制の基幹学校(hauptschule)、6年制の実科学校(realschule)、8年制のギムナジウム(gymnasium)の3つです。基幹学校は、卒業すると就職資格を得られ、職業訓練学校や就職をすることができます。実科学校を卒業すると、前期中等教育終了資格が得られ、職人などを目指して専門学校に進学したり、職業訓練を受けたりすることで、専門性の高い職業に就く道が開かれます。ギムナジウムを卒業すると大学入学資格が得られ、大学に進学することができるようになります。

基幹学校、実科学校を卒業した子供たちは職業訓練をすることになります。ドイツでは、デュアルシステムと呼ばれる、座学教育と実務教育を同時に進める方法をとっています。企業、工場に勤務しながら週に1,2回職業訓練学校に通い、専門知識や詳しい理論などを勉強しています。大体の場合、18歳になるまでの2,3年間は職業訓練を受けます。

ドイツの教育制度は、複線型教育制度と呼ばれるものに分類されます。ドイツの場合だと、3つのルートに分かれていますが、一方の道に進んだらほかの道に変更することが非常に難しいです。しかし、完全に道が閉ざされているわけではなく、成績が優秀であればギムナジウムへの編入も認められています。また、逆に成績不良で2回落第してしまうとギムナジウムから実科学校への転校が命じられ、さらに成績不良だと基幹学校への転校もあります。

ギムナジウムを卒業すると、アビトゥア試験という試験を受け、その合格証明が大学入学資格になります。アビトゥア試験は、教養の高さや分析力、論理構成力などが試されます。記述と口述試験での採点と、学校の成績で合否が決定します。アビトゥアを取得すればドイツ国内のどこの大学にも進学することができ、転学や学部を変更するのも自由です。

ドイツでは、12歳程度の子供に進路を決めさせて、ほとんどの場合固定されてしまいます。私は、子供に将来のことをしっかりと考えさせるのは良いと思いますが、進路を決定させるのは少し早すぎるのではないかと思います。

次回はロシアの教育制度についてです。

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