数学の歴史

皆さんは中学生や高校生のときに、苦手だった教科はありますか? 私は数学がとても苦手でした。数学はどう勉強してもテストで良い点数が取れず、苦労した記憶があります。ヨーロッパ・アメリカ学科は文系ですから、これを読んでいる方の中にも数学が苦手という人は多いのではないでしょうか。ということで、今回はそんな数学が苦手な人でも楽しめるように、歴史的な観点から数学を見ていこうと思います。できるだけ数式は出さないで書くように頑張ります。

数学は、あらゆる学問の中でも天文学と並んで、最も古い学問のひとつとされています。現在でも使われている暦のほとんどは、4000年以上前のバビロニアで発明されました。バビロニアでは1年を360日として、それを12ヶ月に分けたり、1時間を60分と定めたりしました。また、バビロニア以外では、約3000年前のエジプトでも数学が発明されており、エジプトでは1年を365日としていました。

バビロニアで用いられていた計算の基本は60進法でした。現在、我々が使っている数字は10進法なので、計算しづらいと感じるかもしれません。しかし、60という数字は2,3,4,5,6,10,12,15,20,30の10通りに分けられるため、度量衡(ものの重さや長さ)を測る際の利便性に優れており、理にかなっているといえます。ただ、バビロニアには九九がなかったため、大きな数を計算するときに表が必要になってしまうのが欠点でした。

エジプトやバビロニアの数学は、資料が多く残っていることで有名で、度量衡の問題や、兵の運搬に関すること、幾何学の面積や体積に関するものまで、さまざまなものが残っています。このように、実用的に使用できる数学を最初に発明したのはエジプトやバビロニアでした。そして、そんな数学をより高度に発展させたのがギリシャでした。

ギリシャでは、自然哲学者たちが自然とは何で出来ているのかなど、あらゆる現象に対して何故を説き、それを証明してきました。その何故は当然、数学にも向けられました。その結果が数学の証明になります。例えば、イオニア地方のタレスという自然哲学者は、「円は直線によって二等分される」、「対頂角は等しい」など、実際に考えてみると当たり前なことを証明しました。エジプトやバビロニアでは当たり前なことは放置されていましたが、ギリシャ人はそれを許しませんでした。少数派ではありましたが、真理を追究するというギリシャ人の精神の現れでしょう。

ギリシャにおける証明の定義は、あることがらを目に見える形にする、というものです。ギリシャでは証明が終わった後に、「ὅπερ ἔδει δεῖξαι. (hoper edei deixai)」という常套句で締めるのが恒例だったのですが、これがラテン語訳されて「Q.E.D(quod erat demonstrandum)」が証明の語尾に付けられるようになりました。

ギリシャの数学において、エウクレイデス(ユークリッド)という数学者が書いた『原論』に、現在でも使われている数学の基礎が書かれています。『原論』の最も優れた点は、基礎の前におかれた前提が明確に書いてあることで、これは現在の数学にも受け継がれています。例えば、「点は部分を持たない」、「線とは幅のない長さである」、「同じものに等しいものは互いに等しい」などです。こうしたことが定められていることで、証明されたことが現在でも変わらずに通用しているのです。

古典ギリシャの時代が終わりを告げ、ヘレニズム時代が訪れてもなお、数学の進歩はとどまるところを知りません。アルキメデスという数学者が円の面積を求めることに苦心します。それ以前は、円の面積は正方形の面積と比例するということしかわかっていませんでした。そんな中、アルキメデスは円の面積を直接的に求めようとしたのです。

アルキメデスはこのように求めましたが、どれだけ分割しても円にはならないので、当時のギリシャ世界には受け入れられませんでした。

ヘレニズム時代には、エラトステネスという数学者が、地球の大きさについて、現在言われている半径6371kmに非常に近い半径6263kmという数字を出しています。彼は一体、どのようにして数千年以上も前にこんなにも完璧に近い数字を出したのでしょうか。

彼が住んでいたエジプトの南部に位置するシエネという町では、夏至の日に井戸の中に影が出来ないことがわかりました。これはつまり、太陽はシエネの井戸の真上にあるということになります。それに対し、北部に位置するアレクサンドリアという町の井戸には影が出来ることを確認し、地球が丸いという仮説を立てました。そして、さらにその影の長さの差から地球の大きさがわかるのではないかという仮説も立て、計算を始めます。井戸の影の長さを測るのは難しいので、柱を立てて、その影の長さで地球の大きさを測ろうとしました。柱の高さと影の長さで出来る三角形の鋭角の角度が求められ、その角度は7.2度になります。

 

角度β
画像出典:https://analytics-notty.tech/eratosthenes-calculation-of-earth-size/

 

その角度と、シエネとアレクサンドリアの距離が分かると、こうした図形を描くことができ、相似な図形となる為、地球の長さが求められます。これを計算すると6263kmという数字が出てきます。このようにして求めた数字が、現在解明されたものとほとんど変わらないのは驚異的ですよね。

皆さんが高校卒業までに習っている数学の9割以上は古代ギリシャの数学者が発見・証明したものです。数学という学問は現在でも証明できていないことが多い学問です。5000年以上前に生まれた学問が現在まで残っていて、皆さんが学んでいると考えると、少し興味が出てきませんか?これから数学を使う機会はどんどん減っていきますが、勉強していて損することはないでしょう。

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